rTMS とは
反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)は規則的な刺激を連続して行うことができる治療法で、磁気エネルギーを使って脳内の神経細胞を働かせることが期待できます。(Wikipedia:経頭蓋磁気刺激法)
この治療法は、うつ病によって脳本来の機能が低下している部位には興奮性の刺激を送り、過活動になっている脳部位には抑制性の刺激を送ることが可能です。これによって、うつ病の症状が改善することが期待できます。
rTMSはアメリカ、カナダ、ヨーロッパなど海外では2000年頃から行われていた治療法です。日本にも機械は輸入されていましたが、長年自費診療という形でしかrTMSを受けることはできませんでした。
2019年6月からは日本でもrTMSが保険適応になりました。保険診療のためには、決められた機器を用いて、決められたやり方で行う必要があります。当院では2022年に保険診療の適応となる機器(NeuroStar® TMS 治療装置, Neuronetics, Inc.)を導入し、うつ病の患者さんへ新たな治療の選択肢が提案できるようになりました。
rTMSを受けられるのはどんな人ですか?
18歳以上の中等症のうつ病患者で、
A. 1剤以上の抗うつ薬の至適用量を十分な期間服用しても、効果が認められなかった方
B. 抗うつ薬による副作用が顕著で、十分な薬物療法が継続できない
AかBのどちらかを満たす場合にrTMS治療の対象となります。
しかし、上記を満たす場合にも適応外と判断されることもあります。詳しくは主治医にご相談下さい。
rTMSを受けられないのはどんな人ですか?
インプラント・金属等を頭部に植え込んでいる方
インプラント・金属等をトリートメントコイル(下図参照)から30cm以内の部位に植え込んでいる方
うつ病以外の精神疾患を持っている方
すでに最近rTMS療法を受けた方 など
受診までの流れ
- かかりつけ医に相談して、紹介状の作成を依頼します
- かかりつけ医からFAX予約を行うよう依頼してください(参考:徳島大学病院初診の方)
- 予約日にご来院ください
治療の流れ
- 初診日に当科医師による診察と適応の確認を行います
- TMSの適応と判断された場合、治療方針の決定と説明(治療期間、入院期間、回数、費用、副作用など)を行います
- 治療開始
2ヶ月程度の入院期間が必要です。週5回で30回ほど治療を行います。1回の治療には40分ほどの時間が必要です。
初回治療時には位置の設定が必要なため、全部で1時間30分ほどかかります。
当院でのrTMS治療は日本精神神経学会が定める「rTMS適性使用指針」に沿って行います。 - 治療終了後
退院後は再び紹介元のかかりつけ医での治療となります。当院退院の際に治療経過を記載した紹介状をお渡しいたします。
副作用
まれに刺激部位の疼痛・不快感、けいれん発作などがみられることがあります。
費用
各種健康保険が使用できます。施行回数・入院期間によって費用(自己負担額)は異なりますが、薬物調整を主とした通常の入院に比べますと高額になります。そのため、当院では高額療養費制度などの助成を受けることを推奨しております。
入院が決まればできるだけ早く、可能ならば前月までに手続きをおこなってください。詳細は当院スタッフまでお問い合わせください。
70歳未満の方の場合
入院の前月までに、加入している健康保険の運営団体へ「限度額適用認定証」を申請してください。
所得区分に応じて、医療費の自己負担限度額が決められます。
入院手続き時に「限度額適用認定証」を提示して頂くと、限度額以上の費用負担が発生しません。
70歳以上の方の場合
所得によっては助成の対象外となります。詳しくは加入している健康保険の運営団体へ問い合わせてください。
当院のrTMS用チラシ(ダウンロードはこちら)
患者さん・ご家族向けは一枚目。二枚目は医療機関用の適応確認用紙です。
他院YouTubeへのリンク
動画で治療の流れを見ることができます。ぜひご覧ください。
国立精神神経医療研究センター:最先端のrTMS療法を緑豊かな環境で
https://youtu.be/issMOB00TZc
桶狭間病院藤田こころケアセンター:fujita kokorocare tms
https://www.youtube.com/watch?v=y7C1oljq7FA&t=44s
徳島大学病院 精神科神経科 外来
※rTMS治療決定前の問い合わせはかかりつけ医からのみ受け付けております
電話番号 088-633-7128